
人間同士の会話にクックブックは存在しない。固定の型をいくら集めても無理なのは誰でも分かる。
LLM向けのプロンプトも同じだ。「要約してください」の一文でも、学術論文の要約と社内チャットの要約では求められる粒度が異なる。「こう聞けばうまくいく」を何百と示唆するプロンプトクックブックは、普遍的真理を一冊にまとめようとするのに似て、原理的に完成しない。
もちろん原則はある。オープンクエスチョンで広げ、クローズドクエスチョンで絞る。抽象的な指示より具体例を添える。こうした指針。ただしそれは「例文の暗記」ではなく「判断の道具」だ。
ただし、型と判断力を完全に独立させるのには無理がある。経験が人間の会話を作るから。
問題は、型を集めた段階で完成だと思い込むこと。そしてこの罠に最もハマりやすいのは、勉強ができて社会的にも優秀な人である。試験、資格、業務マニュアル、ビジネスフレームワーク――「正解の型を覚えて正確に再現する」ことで勝ってきた成功体験が強いから。
「型の再現」から「型を素材にした応用」できるのか? うまくいってきたやり方を手放すのは怖い。優秀な人ほど、その心理的コストは高い。
Know ではなく、Understand の差だよね。
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